【商売】輸入の手続き 通関の仕組み、必要書類などを完全解説!

売り手と買い付け交渉が成立すると、支払い期限日までに送金します。その後、インコタームズルール通りに、日本に貨物が到着します。しかし、日本に到着したからといっても、輸入者は、すぐに貨物を引き取れないです。

まず、港や空港では、貨物を受け取れるよう専門の港湾会社が引き取りの準備をします。(例:船から貨物をおろすなど)、この準備と同時に、輸入者は、税関に対して「○○港に到着した貨物を輸入したいので許可をください」と申告をします。

この税関に許可を求める一連の行為が「輸入通関」です。輸入者は、税関に輸入申告をして、輸入許可を受けることで、初めて貨物を引き取れるようになっています。

この記事は、輸入通関の仕組み、流れ、必要な書類や情報を解説していきます。

  1. 輸入通関の基礎知識(手続き方法)
    1. 輸入通関の目的
    2. 輸入通関の仕組み(種類)
    3. 輸入通関の流れ *通関業者に依頼する場合
      1. 輸入通関×書類の流れ
        1. 通関業者に依頼を受けてもらえるコツ
        2. 関連疑問・通関業者の依頼先、土日祝日の対応は?
      2. 輸入通関×貨物の流れ
        1. インコタームズ確定後の国際輸送
          1. あえてLCLを使う2つの理由
        2. 日本到着と搬入
        3. LCLは、デバン後に搬入が上がる!
        4. もし、税関検査の場合は…
        5. 関連疑問・税関検査の種類と予約時の注意点
        6. 関連知識:保税転売
    4. 輸入通関に必要な書類と情報
      1. 必要書類と他法令の関係
        1. Q.実行関税率表で他法令が必要かを確認するには?
    5. 輸入通関と申告価格(CIF)
        1. 無料・有償、サンプルの輸入申告価格
        2. 値引き、不良品の輸入申告価格
        3. 特殊関係がある場合の輸入申告価格
      1. 関連知識:輸入申告と為替レート
      2. 関連知識:申告価格と評価申告の仕組み
      3. 関連知識:評価申告とインコタームズとの関係(DDP、EXW)
    6. 輸入通関の料金例(手数料)
      1. 通関代金の請求は、諸掛りと立替金の2つあり!
    7. 輸入通関の日数を短くするには?
    8. その他、輸入通関のよくある疑問
      1. 税関に引っ掛るパターンとは?
      2. 輸入許可の取り消し、許可後の訂正
      3. 輸入申告の撤回について
      4. 20万円以上の価格とは?
      5. 2号承認品目/輸入貿易管理令とは?
      6. 滅却処分とは?
      7. 原産国の表示義務

輸入通関の基礎知識(手続き方法)

輸入通関とは、海外から商品を持ち込むときに税関に申告し、許可を受ける一連の手続きです。英語では、これをImport customs clearanceといい、世界各国で行われています。

例えば、海外旅行から帰国し、イミグレーション後(入国審査)の税関ブースでは、持ち物検査を受けます。実は、あの行為も口頭で税関に申告をする輸入通関手続きです。

ネット通販で商品を購入。これを自宅で受け取る場合も、日本の空港や税関で輸入通関をしています。

その他、コンテナや航空輸送など、ビジネス目的で輸入をする場合も、日本の港又は空港で輸入通関をし、許可を受けます。

*全ての海外商品は、必ず輸入通関を経て国内に流通します!

輸入通関の目的

輸入通関の目的は、日本の国内産業の保護です。

例えば、日本国内で柿が販売されているとしましょう。日本の国内産は、一個100円です。他方、海外産の同じ柿は、一つ30円です。日本産と海外産には、一つ70円の違いです。もし、この安い柿が国内に流通すると大変ですね!このままでは、日本の柿農家が甚大な被害を受けそうです。

そこで、この海外産と日本産の柿の価格差を小さくするために、海外産の柿には、通関時に「輸入関税」をかけています。これにより輸入者は、日本国内で販売するときに関税分を上乗し、国内産との価格差が小さくなります。

その他、輸入通関は、輸入の実態を把握する目的もあります。→「貿易統計

  • 第一の目的:海外産との価格差を縮める=国内産業保護
  • 第二の目的:国内の貿易状況を把握するため

輸入通関の仕組み(種類)

輸入通関の仕組みは、輸入者(日本に貨物を輸入する人)が日本税関(税関長)に対して、自ら申告をして、納税額を計算。納税を輸入許可を受けて貨物を引き取ります。

  • 誰が→ 輸入者(納税義務者)
  • 誰に対して→ 税関
  • 誰が納税額を決める→ 輸入者が自ら計算
  • 引取りのタイミング→ 輸入許可後

少し勘違いしやすいですが、納税額は、輸入者が自ら計算し確定します。税関が計算するわけではないので注意しましょう!この方式を申告納税方式と言います。

しかし、正しい納税額を計算するためには、専門知識が必要です。もし、違う税率の所で計算をすると、納税額に過不足が発生し、後の税関調査(輸入許可後、数年たってから税関職員が検査すること)で指摘されます。

そこで、多くの輸入者は、納税額の計算ミスを防ぐため、通関業者に通関代行を依頼します。(広義で乙仲=通関業者と考えてもOK)

  1. 通関業者による通関代行を依頼
  2. 自らが輸入通関をする。(自社通関)

自社通関は、通関業者へ代行料を払わなくてもいい一方、輸入申告における税額計算のミスが発生する可能性があります。したがって、税関検査への対応、許可後の配送手配の手間等を考えると、多くは、代行業者に依頼する方がメリットが大きいと言えます。

以降、この記事では、通関業者に代行を依頼する前提で説明をしていきます。

参考記事:知識ゼロから自社通関に挑戦。輸入申告から許可までの流れを全公開!

輸入通関の流れ *通関業者に依頼する場合

通関業者に代行を依頼する場合の流れを説明します。この流れには、書類と貨物の2つがあります。

輸入通関×書類の流れ

売り手と交渉をしているとしましょう。このときに留意することは、日本側の輸入規制の有無(法令確認)と正しい税率の特定(HSコードの特定=税番ともいう)です。

  • 法令上、輸入の障害にならないか?
  • 輸入したときの原価を考えて商売になるのか?

上記2つを考えながら交渉を重ねていきます。このとき、わからない部分があれば、税関等に相談をします。もし、通関業者とお付き合いがある場合は、厚意で相談に応じてくれる可能性があります。HUNADEは、この部分の相談を貿易顧問契約で対応しています。

無事に交渉が成立した場合は、売り手から以下の書類がPDFで届きます。(メール等で送信)

  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 保険証券の写し
  • 原産地証明書
  • 船積み後ならB/L
  • 品目を説明する資料(カタログ、URL、MSDSなど)

上記の書類を受け取ったら、輸入者は、取引がある通関業者に書類を転送し、輸入通関の準備をします。なお、通関業者は、個人又は個人事業主の方で、初めて貿易をする方の依頼を断る可能性が高いです。(10社中、2社ほどが受けてくれるかどうか)

サービス紹介:貿易経験ゼロでもOK!個人事業主様対応の通関代行サービス

新しく通関業者を探す場合は、日本通関業連合会を使います。こちらで、貨物が届き予定の地(例:名古屋港なら、名古屋地区)で営業する業者にコンタクトします。結果、業者が依頼を受けてくれる場合は、初回のみ、上記の書類の他、委任状を提出します。

通関業者に依頼を受けてもらえるコツ
  • リアルタイム口座を開いていること
  • 必要な書類がしっかりと揃っていること
  • 輸入者コードを取得していること

書類を受け取った通関業者は、税番(HSコード)を確定するために、輸入者に対して、書類に関する質問をしてきます。(質問方法は、電話の他、メール、チャットなど)必要な場合は、さらに追加の資料を求めてきます。こうして通関業者は、輸入申告がいつでもできるように、書類の準備をしておきます。

船が入港する前日になると、キャリア(フォワーダー)から、輸入者に対して、アライバルノーティスが発行されます。アライバルノーティスが発行されたら、通関業者は、準備しておいた書類を基にして、税関に対して「予備申告」をします。

*予備申告:貨物の引き取りを早めるために、貨物の到着前に税関に審査を依頼すること

*本申告:搬入が上がった後の申告

予備申告では、ナックス(輸出入の通関情報を管理するコンピューター)があなたの輸入実績等を基準にして「審査区分」を判定します。審査区分は、区分1~3があり、その違いは、次の通りです。

  1. 簡易審査扱い →搬入が上がり次第、輸入許可が下りる。(通関を切るともいう)
  2. 通常審査扱い →税関職員による審査がある。問題がなければ、許可。疑義がある場合は、区分落ちをして3になる。
  3. 税関検査扱い →X線などや抜き取り検査等により、税関が実物を検査します。実物と書類の内容に相違がない場合は、輸入許可。相違が大きい場合は「内容点検」を支持されます。

輸入実績は、輸入者コードに蓄積されていくため、できるだけ早く輸入者コードを取得しましょう。輸入実績が乏しい場合は、必ず税関検査があります。税関検査は、強制であり、必要な費用は輸入者が負担します。

例:税関検査に関する対応料(ショートドレージ代、税関検査立会代)等

また、税関検査の費用は、通関業者や検査内容によってバラバラです。請求が来て初めて料金がわかります。(最低限、3万円~ほどは請求される。)

無事に税関検査等が終了すると、輸入許可に至り、その当日(チャーター便トラック)、又は翌日(混載便トラック)に貨物が到着します。

輸入許可後、輸入者の下には、輸入許可書と納付書が送付されてきます。通関で提出した書類一式と許可書と納付書は、許可日の翌日から5年間保管する義務があります。(税関の事後調査で使用)

以上が輸入通関における書類の流れです。

関連疑問・通関業者の依頼先、土日祝日の対応は?

通関業者を選ぶときは、輸入貨物が到着する所を営業所としている所が無難です。通関業者は、年末年始、土日等は休みです。基本的に税関が閉庁している日は、お休みです。また、税関の開庁時間や閉庁時間を基準にしている点にも留意しましょう。(航空通関は違います。)

詳細:税関窓口の時間外対応の取り扱いに関するページ

輸入通関×貨物の流れ

輸入貨物は、船又は航空機で運ばれてきます。輸送手段により若干、貨物の流れが違いますが、大きな流れとしては同じです。ここでは、船での流れをご紹介します。

まず、売り手との交渉の中で、インコタームズを決めます。インコタームズとは、売り手と買い手のやるべきことを「型」として決めている物です。世界各国で共通の物を使用ているため、インコ―ムズを決めるだけで、売り手と買い手の責任範囲が明確になります。実は、このインコタームズには、国際輸送や輸入通関の取り決めがあります。

詳細:インコタームズ2020を徹底解説

例えば、インコターズ>>CIPの場合、売り手が輸入国(日本まで)の輸送代金と保険代金を負担します。他方、インコタームズ>>FCAの場合は、買い手が輸入国までの輸送代金を負担します。

もし、買い手からフォワーダーを指定する場合は「ノミネーションフォワーダー」といいます。

選ぶインコタームズによって、負担する範囲が違います!

インコタームズ確定後の国際輸送

インコタームズが確定すると、売り手は、インコタームズの規定通りに船積みをします。船積みには、次の2つの種類があります。

  1. FCL(コンテナ輸送)
  2. LCL(コンテナ未満輸送=混載)

どちらを使うかは、貨物の重量や容積によって変わります。ある一定の容積以上の場合は、FCL、それ以下の場合はLCLと決めている売り手が多いです。売り手の判断だけでなく、買い手からLCLを使ってほしい(貨物が少量でも)と依頼もできます。

あえてLCLを使う2つの理由
  • FCLの方がLCLよりも搬入が早い=貨物をすぐに受け取れる。
  • FCLの方が貨物にダメージが加わる可能性が低い。
日本到着と搬入

いよいよ貨物が日本の港に到着します。本船が到着すると、次々とコンテナが港に下ろされます。コンテナをおろす場所は「保税地域」に指定されており、外国貨物のコンテナを一時的に保管します。この保管する行為を「搬入」ともいいます。

この搬入のタイミングは、コンテナ輸送(FCL)か混載輸送(LCL)によって変わります。

  1. コンテナ輸送(FCL)=ヤードに貨物をおろしたときに搬入完了(入港日の翌日が多い
  2. 混載輸送(LCL)=ヤードに貨物をおろした後、近くの保税倉庫でデバン。デバン完了後、搬入が完了(入港日の翌々日が多い
LCLは、デバン後に搬入が上がる!

コンテナ輸送の場合は、一つの荷主が一つのコンテナを占有。他方、混載輸送(LCL)は、一つのコンテナを複数の荷主が使い、荷主毎に貨物を分ける作業(デバン=入港日当日又は翌日に行われることが多い)が必要です。=混載輸送の貨物は、デバンが終わった後に搬入が完了する。なお、搬入が終わった貨物は、指定の日数のみ無料で保管ができます。(フリータイム=5営業日ほど)期間後は、デマレッジが請求されます。

FCL、LCLのどちらの場合も搬入を終えた後に専用の機械「ナックス」に情報を入力をします。ナックスに情報の入力が終わると、税関、フォワーダー、通関業者等も搬入の確認ができます。このとき、予備申告×簡易審査扱い(区分1)の物は、即時に輸入許可が下りて、貨物を引き取れます。

もし、税関検査の場合は…

区分2の貨物は、コンテナターミナルに下ろされた状態(又は、保税倉庫で貨物を保管している状態)で引き続き税関職員の審査を受けます。区分3の貨物は、税関検査が確定しているため、税関に検査日の予約(時間)をします。その後、指定された日、時間、場所に間に合うように、コンテナをショートドレージ(短距離トラック輸送)します。

税関検査場所は、コンテナヤードからほど近い所にあります。検査のためにコンテナ(トラック)を移動させる必要があるため、ショートドレージ代(又はチャータートラック代)が輸入者に対して請求されます。税関検査には、コンテナ1本(トラック一台)丸ごとX線検査をする方法の他、実際にコンテナを開封し、中から特定の貨物を引っ張り出して検査する方法があります。

検査方法や検査種類は税関職員が決定し、その費用は、すべて輸入者が負担します。無事に検査が終わると、輸入許可に至り、指定の日に貨物が配送されてきます。

関連疑問・税関検査の種類と予約時の注意点

税関検査は、現場検査、本船検査、ふ中検査、検査場検査、委任検査の5種類があります。また、税関検査は、港等の込み具合によって、検査日を中々、予約できないこともあります。その場合は、商品の納品日が大幅に遅くなることを想定し、納品先と調整が必要です。

関連知識:保税転売

保税地域や保税倉庫で保管している状態で第三者に対して転売ができます。これを「保税転売」といいます。詳細は、親サイトの「保税転売とは?」をご覧ください。

輸入通関に必要な書類と情報

輸入通関をする場合は、売り手から以下の書類や情報を入手します。資料を入手後、通関業者に転送し、本船が到着する前に通関の準備及び予備申告をしてもらいます。これにより、貨物が到着後、素早く引き取れます。


*以下の必要書類は、一般貨物の場合です。他、他法令が関係する貨物は、追加で書類がいります。

書類名 発行者 意味
委任状 買い手(書類のフォーマットは、通関業者毎で違う) 通関業者に対して初めて通関業務を依頼するときに提出する書類です。基本的には、通関業者から書類のフォーマットが送られてきます。
コマーシャルインボイス(仕入れ書)*1 売り手 売り手から、何をいくらで購入したのか?を証明する。
パッキングリスト 売り手 何が、どのような形態で梱包されているのか?を証明する。
保険証券(包括保険)*2 保険会社(売り手又は買い手) 輸出国から輸入国までの保険代金の証明する。
原産地証明書 輸出国側の発給機関(売り手経由で取得) 輸出国の原産品であることを証明し、日本側で関税の減免等の優遇を受けるために使用
B/L=海上、AWB=航空 *3 船会社(売り手経由で取得) どのような船に、どのような形態で輸送されてきたのかを証明
アライバルノーティス

*アライバルにチャージが支払われたら、貨物引き取り用のディスパッチが発行される。

船会社(入港日ETAの前日に輸入者宛てに発行される) 船の入港日(ETA)の証明と貨物を引き取るための諸費用を記載している。
品目を説明する資料 売り手又は買い手 品目の状態等を説明するための補助資料。例えば、製品が掲載されているウェブページのURL、カタログ等。
その他の書類例 売り手の契約書、バイク・自動車証明、薬監証明等

*1 インボイスには、コマーシャルインボイスの他、プロフォーマインボイスがあります。プロフォーマは「仮」のインボイスであるため、通関では使用不可です。必ずコマーシャルインボイスを用意します。

*2 海上保険には、輸送ごとの個別契約と、一定期間を包括的に適用する「包括契約」があります。頻繁に輸入取引をする場合は、包括契約を検討しましょう。

*3 三国間貿易をする場合は、インボイスとB/Lをうまく調整する必要があります。三国間貿易で使うB/Lのことを「スイッチB/L」、インボイスのことを「リインボイス」や「スイッチインボイス」といいます。この辺りは、対応できるフォワーダーの選定が重要です。

必要書類と他法令の関係

一般的な貨物の輸入通関では、上記の書類で十分です。しかし、食品、植物、ワシントン条約、包丁、刀等、いくつかの品目は、輸入するときに他の法令を考慮します。=他法令の確認

例えば、食品を輸入するときは、上記のインボイスやパッキンギリストの他、食品の原材料リスト、加工工程フロー図、農薬検査証明書などが必要です。詳細は、他法令の一覧をご覧ください。

Q.実行関税率表で他法令が必要かを確認するには?

実行関税率表を開き、該当のHSコードの右側を確認しましょう。そこに「FD」等が記載されています。このFDの部分をクリックすると、詳細を確認できます。

輸入通関

輸入通関と申告価格(CIF)

輸入通関の申告価格と売り手から購入したときの価格には、価格差が有ります。理由は、輸入通関上の申告価格は、売り手から購入した価格+必要な費用を計上した合計額=CIFとしているからです。

売り手からの購入価格+必要な費用の合計額=申告価格(課税価格)

この内、必要な費用には、次の物があります。

  1. 日本までの国際輸送費
  2. 保険代金
  3. 副資材を送っている場合は、その資材代

=海外の商品を日本の港又は、空港に届けるまでに支払った全ての費用を合計した物が輸入申告価格です。そして、それぞれの費用は、次の書類で証明します。

  • 売り手から購入した商品価格=コマーシャルインボイス
  • 国際輸送費=アライバルノーティス
  • 保険代金=保険証券
  • 副資材等の提供=日本から副資材を送ったときの送料や資材代の明細書

上記の書類をそろえて輸入申告価格(課税価格)を算出し、これに輸入関税率をかけることで、あなたが支払うべき消費税額や関税額がわかります。さらに、この課税価格を正しく求めるために、関税法では、値引き、相殺、特殊関係について次のように定めています。

無料・有償、サンプルの輸入申告価格

売り手から無償で又はサンプルとして貨物を受け取る場合でも、輸入申告価格は、ゼロにできません。その貨物が持つ本来の「価値」を申告する必要があります。

値引き、不良品の輸入申告価格

貨物が値引きを受けている。前回、不良だったから今回分で相殺しているなどの場合は、値引き前の価格が輸入申告価格です。

特殊関係がある場合の輸入申告価格

売り手と買い手との特殊関係がある場合(例:売り手と買い手が兄弟など)は、「原則的な課税価格の決定方法以外の方法」により価格が決まります。

その他のケースは、税関の課税価格に加算するべき費用の一例をご覧ください。

関連知識:輸入申告と為替レート

輸入申告価格は、米ドル、ユーロなど、海外通貨の場合が多いです。この場合、換算レートは、税関が定める公示レートを使います。

*基準:輸入申告日が属する週の前々週の当該平均相場

関連知識:申告価格と評価申告の仕組み

輸入申告価格は、売り手に支払った商品代金の他、必要な費用を加算した額です。これを別名「評価」とも言います。

例えば、完成品の製造に必要な金型を日本から現地の工場に提供。現地の工場は、この金型を使い、完成品を製造。その後、完成品を日本に輸出している場合は、売り手のインボイスには、金型部分の製造コストが正しく含まれない可能性があります。これを防止するのが「評価申告」です。

仮に100万円の金型を海外に輸出。その金型を使い、1万枚の服を輸入する予定なら、輸入申告時に一枚辺り100円を評価として輸入申告価格に計上します。(100万円/10万枚)

関連知識:評価申告とインコタームズとの関係(DDP、EXW)

輸入申告価格は、CIFが基準です。

例えば、売り手との間にDDPやEXWのインコタームズを設定している場合は、それぞれをCIFにして申告価格を算出します。DDPは、日本の通関後の国内配送代金+通関代+輸入諸税等がインボイス価格に含まれています。DDP=インボイスから、これらの価格を引いた物がCIF=輸入申告価格です。

一方、EXWの場合は、売り手側の工場から先の全ての費用を買い手側が負担します。よって、EXWのインボイスを使う場合は…

  • 輸出国側の陸送
  • 輸出国側の通関代
  • 国際輸送費
  • 保険代金等

追加してCIF価格(申告価格)を求めます。

どんなインコタームズを使っていても必ずCIFに換算して輸入申告価格を算出

輸入通関の料金例(手数料)

輸入通関の料金は、以前まで「法定」であり上限が決められていました。しかし、制度改正により2022年現在は自由です。ただ、長年の慣習から、今でも下記の料金を継続している所が多いです。

品目例 価格例
輸入通関料(大額) 消費税は免税です! 11,800円~/件・葉・欄
通関料(少額) 8,600円~
取扱料 15,000円~
税関検査対応料 *必要な時 2~3万円
船社チャージ アライバルノーティスに記載
ドレー代金(コンテナのまま配送する代金) 会社による
混載又はトラック代金(トラックで配送代) 会社による
食品申請料 5,000円~10,000/件

大額・少額は、課税価格が20万円を超えるのか?で変わります。一件、一葉、一欄は、輸入する商品の品目数です。つまり、一件の通関件数で何品目まで対応するのか?を表します。

例えば、りんご、とまと、みかん、ぶどうなどを輸入申告するとした場合、これを一件とみなすのか?それとも二件とみなすのか?です。この品目数は、商品のHSコードを基準に決めています。

品目数(HSコードの数) 通関料
1~2品目 一件分
3~6品目 二件分
以降、繰り返し

通関代金の請求は、諸掛りと立替金の2つあり!

通関代の支払いは、通関代金等の輸入諸掛りと立替金の2つがあります。

  1. 輸入諸掛り
  2. 関税・消費税

諸掛りには、通関代金、取り扱い手数料、税関検査代等が含まれます。こちらは、通関業者との契約により、締め日と支払日が決まります。多くの場合、毎月末の支払い、翌月末の支払いが多いです。

一方、立替金には、関税や消費税等が含まれます。本来、このお金は、通関業者が立て替えるべき物ではないです。しかし、昔ながらの悪習として2022年現在も残っています。この立替金は、輸入許可日から5日~10日以内が支払い期限の場合が多く、上記の諸掛りよりも厳しいです。

=そもそも、通関業者が立て替えるべき物ではないです!

昨今は、通関業者も立替金を少しでも減らす流れになっており、基本的に新規荷主は、リアルアイム口座等をお勧めしています。輸入税の支払い方法(延納制度)等の詳細は「輸入関税の支払い方法(マルチペイメント)」をご覧ください。

輸入通関の日数を短くするには?

輸入通関は、通常、海上貨物で3日程、航空貨物で1日ほどかかります。通関日数の短縮は、EPA(経済協定)でも決められており、努力義務として、速やかに通関手続きを行うとされています。

もし、緊急性が高い貨物で、できるだ早く貨物を受け取りたい場合(通関日数を短くしたい)は、次の5つを覚えておきましょう!

  1. フェリー船を検討する
  2. 売り手に対して(自分手配ならフォワーダーに)にHDSを依頼
  3. 予備申告をする。
  4. 当日配送(LCLの場合は、デバンオントラを検討)
  5. 可能なら、地方港に転送する。

できるだけ早く貨物を運びたいときは、コンテナ船ではなく「フェリー船」を使います。

例えば、エフシースタンダードロジックス株式会社の海上速達便は、中国各地から日本の玄関先まで最短3日で配送ができます。コンテナ船とフェリー船は、輸送速度が全く違います。

もし、フェリー船がない航路の場合は、HDS(ホットデリバリー)を付けておきます。HDSがあると、日本に貨物が到着したときに、優先して貨物を搬入してくれます。(搬入が早い=輸入許可の取得が早い)これとプラスして、できるだけ早く通関書類を取り揃えて、通関業者に予備申告を依頼することも重要です。

その他、当日ピップアップ。LCL輸送の場合は、デバンオントラ(港でデバンをして、そのままチャータートラックで配送)可能であれば、東京、大阪、名古屋等のメジャー港ではなく、地方港で荷物を揚げるのも一つの方法です。

地方港は、ヤード、通関、税関、トラック輸送等がメジャー港よりも迅速です。

以上が輸入通関に関する基本的な知識です。

その他、輸入通関のよくある疑問

税関に引っ掛るパターンとは?

税関は、ナックスと呼ばれる巨大なコンピューターにより、輸入者の実績を蓄積しています。この実績は、良い評価、悪い評価を含めて行われているため、過去、何らかの指摘を受けたことがある場合は、必然的に税関検査率が高くなります。

その他、ナックスに記録されている品目データと著しく乖離している場合(レンジアウト)も、コンピューターが異常と判断する可能性が高いです。

例えば、同種の○○を○○国から輸入する場合は、平均的には、200円前後で輸入されているのに、この業者だけ50円として輸入申告しているなどです。この場合、ナックスは、平均的な価格よりも著しく低いと判断します。この判定がでると、税関職員が書類を確認します。

*アンダーバリュー行為の有無=脱税行為

輸入許可の取り消し、許可後の訂正

輸入許可の取り消しは不可です。許可と同時に貨物は「内国貨物」に切り替わります。また、許可後に申告内容を訂正する場合は、修正申告又は、更正の請求をします。

輸入申告の撤回について

輸入許可までの間であれば、税関様式C第 5245 号 を使い、輸入申告の撤回ができます。しかし、撤回をしても税関職員は、関税法67条に基づく税関検査ができるとされています。

20万円以上の価格とは?

20万円は、一般税率と簡易税率の境目です。簡易税率の場合は、税関職員や国際輸送業者等が自動的に通関処理をしてくれるため、自宅等で貨物を待つだけです。他方、20万円をこえる場合は、自分又は代理人による輸入申告(輸入通関手続き)が必要です。

2号承認品目/輸入貿易管理令とは?

2号承認品目とは、経済産業省が管理する輸入貿易管理令(外為法)に期待する品目リストです。くろマグロやミナミマグロなどの魚介類が対象です。これらを輸入する方は、経済産業省より輸入承認を得なければ、輸入許可が下りません。

滅却処分とは?

税関検査等で日本に輸入ができない貨物であることがわかった場合は、積戻しか滅却のどちらを選ばなければなりません。積戻しとは、日本に到着した貨物を輸出国に返却することです。他方、滅却とは、輸入貨物を利用ができようないよに処分することです。

この滅却処分は、指定の業者しか行えず、輸入者は一切、触ることができないです。また、特殊な作業であるため、滅却費用も割高に設定されていることが多いです。この意味でも、輸入を検討する場合、まずは日本側の輸入法令への適合を確認しなければなりません。

原産国の表示義務

関税71条には、原産地について直接又は間接に偽った表示や誤認を生じさせる表示がある場合は、輸入を許可しないと規定されています。もし、原産国の表示がおかしい場合は、輸入の許可前(保税地域に保管しているとき)に、全ての表示内容を訂正する必要があります。

具体的には、保税倉庫等の一部を借りて作業をさせてもらい、専門の人材を雇い(又は輸入者が自ら)ラベル貼り替え等をします。仮に1万本を輸入する場合は、一万本に対して訂正作業をします。時間と費用が非常にかかるため、特に注意が必要です。

*訂正できない場合は、輸入は不許可となり、全量、積戻しです。

原産国の誤認の例としては、インボイスが日本産になっているのに、貨物には、中国産の刻印がされている。パッケージ等がイタリア国旗を模しているのに、原産国が別の国になっているなどがあります。71条には、誤認を生じさせる表示と少し広めな表現になっていることにも留意します。


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